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アウトローの巣窟になる日

  最後にいくつか言わせていただきます。当時、この「意見書」をまとめたことを記者会見し、発表したんですが、マスコミは一行も書きませんでした。東大阪市政にとって重大な問題であり、また、将来に関わる問題であるにもかかわらず、です。改めて、マスコミの解放同盟タブーを思い知らされましたね。

  私は、日本の旧同和地区は、21世紀には3つぐらいの方向に分かれるだろうと思っています。1つは部落の発展的解消の道です。2002年3月の法期限切れ(同特法の完全失効)で、法律的にはもはや同和地区は存在しません。しかし、一般施策の中での“同和優先”は相変わらずで、人権行政という名目で事実上の同和行政がまだ続いています。しかし将来的にはこれもなくなり、文字どおり同和という名前が消える。まさに発展的解消の方向ですね。

  2番目の道は、属地属人主義(注)に固執して、純粋な部落というものを固定化し、そしてやがて旧地区全体が衰退していくという道です。今、全国の旧同和地区の人口は一斉に減少しています。若い人たちがどんどん地区外に出ていっている。そして高齢者が旧地区に残される。事実、旧地区の高齢化率は異常に増加していて、地域社会がだんだん力を失っているというのが実態です。こうした実態に対して、改良住宅を建て替えて、再び属地属人主義に基づいて部落の再開発をしようという動きが始まっています。私はこの方向は絶対に間違っていると思います。改良住宅という「ハコ」が新しくなっても、若い人が出ていくような地域であれば、中身はすたれ、地区は存続できません。現にそうなっていますし、また、この第2の道を辿っているケースが案外と多いのです。

  第3の道は、もしこのまま放置するならば、東大阪市が陥りかねない方向です。それは先ほど申しましたように、アウトロー地区への道です。問題のある人が、どんどん旧同和地区に入ってくる。そして、さまざまなところで私物化、利権、スキャンダル、退廃、暴力、そういうものの拠点になっていく恐れがあります。神戸市に番町という非常に大きな旧同和地区があります。そこで聞いた話ですが、東大阪市の旧同和地区の一つ、荒本地区というのは、全国的にも非常に有名なところだというのです。“その筋”には有名な地区なんだと、はっきり言っていました。そうなると、もはやこれは同和地区だとか旧同和地区だとかいえない。同和地区という隠れ蓑をかぶった、れっきとしたアウトローの地域になっていくのではないか。そういう方向に向かって地区協が改良住宅の入居を勧めているのではないかとさえ疑われるのです。このような道は絶対に許してはならない。市長が替わり、法期限切れになっても、地区協が言うがままの同和行政が進められる方向に逆転換したという話ですから、そういう地区が東大阪市のなかで肥大化していくのだとしたら、なおさらそれを許してはならないと思います。

乱脈同和行政が目指すもの

  新市長就任後の東大阪市では、部落解放同盟の要求に基づいて、旧同和地区の荒本地区に、5億円を超える予算が必要となる新しい駐車場を設置する計画がすでに浮上している。松見市政は解放同盟との交渉でも、「百点満点」(解放同盟)  の回答をし、同時法の期限切れによって「同和地
区」はなくなったものの、歴史的・社会的に形成された「同和地区」は完全になくなったとはいえないという理由から、今後とも、同和対策事業を(積極的に推進)していくことになった。

  事実、同和優先の動きは具体的に始まっている。たとえば、地域就労支援事業である。同事業は、一般対策として市内全域を対象に実施するといいながら、雇用開発センター、荒本、蛇草といった旧同和地区内の解放会館という特定の場所で運営され、しかも事業の委託先を、解放同盟が運営する地区協議会が名称変更しただけの「地区人権協会」とするなど、同和優先となっている。

  さらに、旧同和地区住民のための地域会館および隣保館運営事業再構築事業として、そこを介して行なわれる在宅保健医療福祉サービス事業や人権相談事業、生徒の進路選択支援モデル事業についても、一般対策と称しながら、かつての同和地区住民を対象に会館事業を拡大するなど、新たな
同和対策事業を進め、乱脈同和行政への復活が始まっているのだ。

  この事実を広原教授の弁に重ね合わせると、思いは複雑である。

(注)属地=旧同和地区在住者、属人=旧同和地区出身者。

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