再生産される同和地区
さて、「意見書」の3つ目の意義は、改良住宅への入居が、地区協議会と呼ばれる、事実上、一部の運動団体が支配権を握っている団体によって決定されていることを、声を大にして訴えたことです。改良住宅への入居審査は、言葉のうえでは市と地区協が“協議″することになっていますが、事実上は地区協が「この人を改良住宅に入れる」と言えば、自動的に入れる仕組みになっているわけです。
入居資格の最低条件は、旧同和地区住民であり、かつ住居に困っている人、というものです。ところが現実には、一般地区の住民や在日外国人が入居しているんです。ただ、このことを私は決して悪いとは思わない。改良住宅を同和住宅に限定して純粋の部落を作っていくことは、同和対策事業が目指した方向ではありません。同和対策事業を法律で担保した同和対策事業特別措置法(同特法)の本来の目的は、部落の住環境を改善しなくてはいけないけれども、改善された部落をつくつてはならないというものです。住環境を改善することによって、一般地区と同和地区との交流を円滑にし、一定の年月のうちに自然に交流を深めて部落を発展的に解消していくために、環境改善が必要とされてきたわけです。しかし、東大阪市で大問題なのは、一般地区住民や在日外国人を改良住宅に入れたとたん、その人を旧同和地区住民として認定する仕組みになっていることです。そして、たとえば就職支度金といった各種同和事業の給付の対象になる。そんな、誰が考えてもおかしなことが行なわれてきたわけです。つまり、本来は同和対策事業を終結させ、同和地区をなくし、そして差別をなくしていく責任を持っている人、地区協の人たちが、一般地区の人をリクルートして、わざわざ旧同和地区住民にさせるということをやっているんです。
これは、東大阪市の同和行政の非常に特異な性格です。同和地区をなくしていくための同和行政ではなく、同和地区を再生産していくための同和行政であることが本質なんです。しかも、「意見書」には書いてありませんが、地区住民のなかには、暴力団といわれている人々も少なからず含まれています。現に、改良住宅ではさまざまな暴力行為が発生しています。実態は統計的には把握されていませんが、事件は起こっています。市の職員が家賃を取りに行くと、身の危険を感じるようなことが起こるという事実もあります。
ですから、同和地区には一般地区の人が増えて、旧同和地区としての性格が薄れているという側面と、今言ったようなアウトロー的な性格の人たちが増えているという事実が、同時並行的に進んで起きているのが、東大阪市の旧同和地区の実態なのです。
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