結婚の問題は、すでに乗り越えられた
2年半前に出された「意見書」についてお話しする前に、一言申し上げておきますと、「意見書」は、すべて当時の行政資料に基づいて作成されたということです。なかには、市幹部による資料隠しで公開されなかった部分もありますが、大阪府や東大阪市によって今まで作られてきた資料がもとになっています。
さて、「意見書」の意義は3つあります。1番目の意義は、東大阪市の旧同和地区が、その実態において、もはや「同和地区」ではないということです。たとえば、現在の地区住民の約半数が、すでに旧地区出身者ではなくなっています。また、これまで旧地区と地区外の非常に大きな垣根の一つとして数えられていた結婚の間題も、これからの将来を担う新しい世代、たとえば20歳代の若い夫婦4組のうち3組までが旧地区内外の垣根を越えて結ばれている実態が明らかになりました。もちろん、結婚というものは、両性の合意に基づいて行なわれるものですから、旧地区出身者と旧地区出身者とが両性の合意に基づいて結婚するということもごく自然な成り行きです。それも前提にして考えれば、今までの最大の垣根だった結婚の問題は、もはや若い世代の間では大きく乗り越えられたと確信できると思います。
また、かつて部落差別の非常に大きな原因だった劣悪な居住環境についても、全国の一般地区と比較しても、あるいは国の統計、京阪神の大都市圏の世帯と比較しても決して劣らない。東大阪市全体を見ると、むしろ相対的には優れていると断言できます。職業選択の自由という点をとっても、決して遜色のない数字が出ています。いわばこの「意見書」の第1の意義は、旧同和地区の限りなく一般地区に近い実態を、20世紀の最後の段階できちんと客観的な数字にして明らかにしたことです。
第2の意義は、乱脈同和行政の実態を具体的に指摘したことです。この30数年間に東大阪市では、同和予算として2200億円近い巨額の公費が投じられてきたという大きな問題があります。しかし、どうみてもこれほどの巨費を投じる必要はなかった。多くて、せいぜい5分の1程度、適正に執行すれば10分の1の経費で充分に今の水準を達成できたと思います。そうなると、余分に投じられた残りの5分の4、あるいは10分の9という同和予算が何を生み出したのか、という話に行き当たると思います。それが、東大阪市の不正乱脈極まる同和行政の根源になったのです。東大阪市の同和行政の歪み、同和行政が落とした暗黒の影はあまりにも大きい。英語で「信じられない」ことを「アンビリーバブル」と言いますが、まさにアンビリーバブルな実態がそこにある。
この全容は、おそらく「意見書」でも全面的には解明されていないと思います。なぜなら、行政自身が掴んでいないことが山ほどあるからです。しかし、少なくとも行政が掴んでいる資料だけでも、驚くべき実態を検証できたわけです。
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