4/11P
現場主義の研究者として
〜私はなぜ、すまいとまちづくりの研究を志したか〜
広 原 盛 明

2-3 生育背景、時代環境

 なぜこのような思考・行動様式をもった人間が出てきたのかということを自分なりに分析しますと、生育的な背景と時代環境があると思います。生育的な背景は、奈良県という前近代的な地域社会や家族への反発です。島崎藤村ばりの前近代との闘いがそこにありました。戦後の高度成長期になってなお闘わなくてはならないほど、奈良は前近代的なところです。だから私は近代主義者なのです。あのような前近代的社会は嫌で、一刻も早く飛び出して二度と帰らないという決意を込めていました。

 それから時代環境ですが、さきほども言いましたように私は戦後民主主義の一期生です。国民学校が小学校に変わって、一年生のときに日本の戦後が始まりました。そして大学を卒業すると高度成長期が始まり、そして今、少子高齢社会に直面して、私の将来の面倒を見てくれるのは誰もいないという、つねに時代の先端世代に属しています。ですからよく言われますが、私たちは親の面倒を見る最後の世代で、子どもに面倒をみてもらえない最初の世代です。そのような意味で、あらゆる時代の変わり目の先端に位置しているわけです。ですから時代に対して敏感にならざるを得ないし、その変わり目をどう自分なりに解釈して乗り切っていくか、ということと常に対峙してきたということがあるのだろうと思います。