洛西ニュータウンの過去と現在そして未来
〜人口減少時代における日本型ニュータウンの再生の課題〜
 全4P
広 原 盛 明
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  本稿は、昨年度、私が論文指導を担当した社会人大学院生との議論の中でまとめたものです。京都市最初の大規模計画住宅団地である洛西ニュータウンがどのような社会的・政治的背景のもとに構想され開発に至ったのか、また洛西ニュータウンは京都市民の住宅事情の改善にどのように貢献したかを検証するとともに、ニュータウンの現状と問題点を明らかにし、今後のまちづくりの方向を考え、その具体化方策の提案を目的としています。
 目次
1.洛西ニュータウンとは
2.日本型ニュータウンの特徴と問題点
3.変容迫られる洛西ニュータウン
4.いま問われる再生の課題
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1. 洛西ニュータウンとは

  洛西ニュータウンは、1960年代の高度経済成長期に高山・井上市長時代の保守市政のもとで構想され、それに引き続く富井革新市政によって1970年代半ばに実施に移された大規模計画住宅団地である。大都市への急激な人口集中に基づく郊外スプロールを未然に防止し、大都市住民に良質で低廉な住宅の大量供給を目的とするニュータウン計画は、その間、京都市政の保守から革新への政治的転換にもかかわらず間断なく進められ、与野党の対立をみることなく進捗が図られた。洛西ニュータウンは、京都市の人口が増加して世帯細分化が進み住宅需要が急増する中で、公的賃貸住宅や分譲住宅など低廉で良質な住宅を計画的に大量供給することによって、所期の目的を達成し得たと評価できる。

  しかしながら、1976年のまちびらきから30年目を目前に迎えた現在、洛西ニュータウンでは最近になって人口流出が相次ぎ、激しい少子高齢化が進行している。また小学校に空き教室が増え、近隣サブセンターの商業施設が一部閉鎖されるなど、開発当初では想像も出来なかったような憂慮すべき事態が次々と生起している。これら一連の現象は各地のニュータウンにおいてもほぼ同様に指摘されるところであるが、洛西ニュータウンの場合は、その進行程度が先行するニュータウンに比べても顕著である点に留意する必要がある。いったい洛西ニュータウンにいかなる事態が生じているというのであろうか。

  都市の生成サイクル理論にもみられるように、ニュータウンにも成長・成熟・衰退・再生といった生成サイクルが存在するように思われる。1976年の洛西ニュータウンの誕生(入居開始)以来、人口増加が継続してきた1990年までの14年間を「成長サイクル」と考えるなら、人口減少が始まったものの世帯数が安定的に推移してきた現在までの14年間を「成熟サイクル」と見なすことは可能だろう。しかし、問題はこれからである。2005年は国勢調査年となるので、いずれ正確な世帯・人口統計資料が得られるものと思うが、今後の対応を誤るときは、意外に早く「衰退サイクル」への移行が始まる可能性も否定できない。その意味で、まちびらき30周年を迎える2006年前後はまさしく洛西ニュータウンの転換期ともいえ、そこでの問題状況に対しては単に個別課題の是正・改良にとどまらず、ニュータウンの将来方向を見据えた戦略的対応が求められているといえよう。