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3.同和地区の一般地区化について


  最大の問題は、住宅・環境施策の結果が部落解消あるいは同和地区の一般地区化という最終目標に向かうどころか、むしろ「部落の維持・継続」、「同和地区の再生産」に向かって歴史的に逆行していることであろう。換言すれば、「実態としての部落・同和地区」がいま現在歴史的に解消しつつあるにもかかわらず、「行政的に維持・再生産された同和地区」ともいうべき「行政部落」が新たに生み出されているのである。その根本原因は、いうまでもなく「府同促・地区協方式」といわれる東大阪市同和行政の運営方式、とりわけ部落運動団体や地元精通者等から構成される「地区協議会」の「入居推薦」に基づく同和向市営住宅の入居者選考方式に起因している。

(1)地区協議会による同和地区住民の推薦と認定

  東大阪市の同和行政は、これまで建前上は同和地区出身者でありかつ地区居住者である地区住民を同和事業の対象とする「属地属人主義」に基づくとされてきた。しかし上述したように、すでに10年前から全世帯の1/2近くが地区外出身世帯によって占められ、「夫婦とも同和地区」である世帯比率が全夫婦世帯の1/4以下でしかない事態が出現していることは、この「属地属人主義」の運用が当初目的から根本的に変質していることを物語っている。その何よりの証左が「同和地区住民」として行政から認定されている多数の「外国人登録者」の存在であろう。

  90年5月調査の段階で、荒本地区では同和地区人口1895人のうち63人(3.3%)、蛇草地区では3543人のうち561人(15.8%)、計5438人のうち実に624人(11.5%)もの「外国人国籍同和地区住民」の存在が確認されている。また最近の『東大阪市行政資料』(2000年3月現在)によれば、荒本地区1830人のうち69人(3.8%)、蛇草地区3236人のうち503人(15.5%)、計5066人のうち572人(11.3%)が外国人登録者であることが判明している。つまり、東大阪市の同和地区においては、地区外出身者はもとより外国人登録者も「同和地区住民」として行政から認定されてきたのである。

  この事態は、属地属人主義を口実にした地区協議会による同和地区住民の認定というべき極めて重大な内容をはらんでいる。なぜなら、同和向市営住宅の入居者選考においては、これまで「属地属人主義」を理由に一般市民の応募・入居は拒否しながら、地区協議会が入居者を「推薦」し、住宅改良室と「協議」すれば、行政がこれを個人給付事業をはじめ各種同和事業の対象者となる「同和地区住民」として改良住宅への入居を認めるという東大阪市特有の入居審査・決定方式がまかり通ってきたからである。これは、地区協議会による同和向市営住宅入居者の「事実上の選別」であり、同和向市営住宅が地区外住民や外国人を「同和地区住民化」する割を果たしているといえよう。

  本来ならば、地区外住民の同和向市営住宅への入居は「混住化」を促進して同和地区の解消を導くはずである。しかし、東大阪市においては逆に地区協議会と行政が事実上共同して「同和地区住民」として地区外住民を同和向市営住宅に入居させ、同和地区を維持・再生産するシステムとして機能しているのである。

(2)同和向市営住宅における不正入居と家賃滞納の常態化

  同和事業のほとんど全てを地区協議会との協議を通して執行・運営する「地区協方式」は、公営住宅法に基づく公的な改良住宅の維持・管理業務を事実上の「無法化状態」と化してきた。「不正入居の蔓延」、「家賃滞納の常態化」という異常かつ深刻極まる事態の横行がそれである。

  改良住宅における不正入居については、これまでしばしばその横行ぶりが指摘されながら本格的な実態調査が一度として実施されず、また明渡請求など必要な法的措置も全くとられてこなかった。このことは、当局が行政責任を放棄し、無法状態を事実上野放しにしてきたことに他ならず、不正入居者はもとより行政当事者としても厳しく批判されて然るべきである。

  不正入居には、正当な事由なしに住宅を一定期間使用しない「不在」、入居権の「無断承継」や「転貸し」あるいは「譲渡」など各種の態様がある。しかし、90年5月調査時点において、不正入居の実態こそ調査されなかったものの、荒本地区では調査対象898世帯のうち138世帯(15.4%)、蛇草地区では1578世帯のうち138世帯(8.7%)、計2476世帯のうち276世帯(11.1%)が「長期不在」として「調査不能世帯」にカウントされており、実態の一端は図らずもその時点で明らかになっていたのである。

  今回、公営住宅法が1996年に45年ぶりに大改正され、家賃体系が従来の建設費用原価に基づく「法定限度額方式」から、入居者収入と当該住宅の便益に応じて決定される「応能応益方式」に変更されることになった。すでに一般公営住宅においては家賃改訂が実施済であり、改良住宅においても2001年度から実施に移されることになっている。入居者の収入を確定することなしには、家賃を決定できない仕組みになっているわけである。したがって当局としてもこれまでのように名義人と入居者が異なる状態を放置することは許されなくなり、最近になって漸く入居者調査が行われることになった。だがこれまで不正入居を事実上野放しにしてきたツケは大きく調査は難航しており、結果は「調査中」と称して未だ公表されていない。

  家賃滞納の実態にいたっては、これが法治国家の下での自治体行政とは到底信じられないような戦慄すべき状況が露呈している(表8〜10)。住宅改良室の調査によれば、2003年3月末現在、3カ月以上の家賃滞納は件数にして1011件、滞納額合計(延滞利子等は一切含めないで)は2億1千万円近くの巨額に上っている。改良住宅入居者2202世帯の実に半数近く(46%)が滞納しているわけである。しかも、家賃滞納・不払者に対してはこれまで年4回の形式的な催促状が郵送されるだけで、長期間にわたって住宅管理者が家賃徴収に直接赴いたことがないという。今年度になって漸く滞納世帯への個別訪問が行われ、一定の前進が見られたと聞くが、現在のところ全体的な結果は判明していない。

  家賃滞納の内訳をみると、さらに驚愕すべき数字が並んでいる。3年以上5年未満の滞納108件、5年以上10年未満の滞納92件、10年以上の滞納31件である。3年以上の家賃滞納・不払者が実に全世帯の10%を超える231世帯に達している。また「滞納月数ワーストテン」は最長192カ月(16年)から135カ月(11年3カ月)まで、「滞納金額ワーストテン」は延滞利子等を一切含めないで最高155万5千円から123万3千円までなど、まさに「天文学的数字」としか言いようのない数字が並んでいる。

  加えて見逃すことができないのは、東大阪市の正規の公務員でありながら3カ月以上滞納している入居者が67世帯、滞納金額にして1600万円に達していることである。しかもその中には3年以上5年未満の滞納11件、5年以上10年未満の滞納3件、計14件もの悪質極まりないケースが含まれている。市民の税金によって賃金が支払われ、市民の公僕として市民福祉に服務しなければならない市職員多数が、このような不正行為を重ねている事態は言語道断であり、絶対に許されない社会的犯罪行為というべきである。
  
  
  
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