第2章
住宅・環境施策
・.基本視点
同和行政における住宅・環境施策は、これまで部落差別を解消するための最重要施策の一つであった。これは、歴史的には部落差別が身分・職業・居住地に関する三位一体の差別であり、戦後においても劣悪な地区環境の存続が差別解消を妨げる主たる要因であったためである。
したがって、同和地区の住宅・環境を改善することは、(1)地区住民の「健康で文化的な最低限の住生活」を実現し(憲法第25条)、(2)一般地区と相互移転・交流を促す「居住・移転の自由」を保障し(憲法第22条)、(3)同和地区の一般地区化すなわち部落の解消を図り「改善された同和地区を再生産しない」(同対審答申調査報告)という同和行政の基本目標に合致していた。
・.東大阪市同和行政における住宅・環境施策の到達点と問題点
1.
居住水準について
政府が5年ごとに作成する住宅建設五箇年計画では、国民の住生活の向上を図る上で達成すべき目標の一つとして「居住水準」を定めている。「居住水準」(表1)には、(1)健康で文化的な住生活の基礎であり、全国全ての世帯が確保すべき水準である「最低居住水準」、(2)2000年度を目途に全国で半数の世帯が到達できるようにする「誘導居住水準」の2種類がある。前者は全国一律の基準であり、後者は立地条件により、都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定した「都市居住型」ならびに都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定した「一般型」に2区分されている。
この基準は固定化された絶対的基準でなく、国の住宅政策を遂行する上での政策基準であり相対的基準であって、これまでも国民の住生活の向上に応じてその都度改訂されてきた。したがって、現時点で居住水準が最低居住水準を超えている場合には、健康で文化的な最低限の住生活が一応実現されていると考えられ、誘導居住水準以上である場合には、全国平均以上の水準にあると見なすことができる。ここでは、東大阪市同和地区の居住水準を「都市居住型」基準を適用して検討してみたい。
東大阪市同和地区の居住水準(東大阪市住宅改良室調、2000年4月現在)を『平成10年住宅・土地統計調査速報値』(総務庁、1998年10月現在)に基づき京阪神大都市圏の居住水準と比較してみると、地区住民の大多数が計画的に建設された同和向市営住宅(改良住宅を含む、以下同じ)に居住していることから、日照・通風・道路・駐車場・公園・各種共同施設などの近隣環境条件はもとより、住宅の規模・構造・設備などについても健康で文化的な最低限の住生活を保障する水準をほぼクリアーしているといえる。
これを世帯人員別住戸規模から算出した「最低居住水準未満」、「最低居住水準以上、誘導居住水準未満」、「誘導居住水準以上」に3区分して各々の世帯比率をみると、地区の居住水準は、京阪神大都市圏の持家を含む全世帯平均水準には劣るものの、公営借家世帯及び民間借家世帯をやや上回る水準に位置していることがわかる(表2〜3)。


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