2004春・広原もりあき市民マニフェスト
世界の平和文化首都として生きつづける、"はんなり"とした京都をめざして
京都市長選挙立候補予定者 広
原
盛
明
2004年1月6日
京都は千年の美しい都
京都は、千年にわたる都(みやこ)として生きつづけてきました。そこに生まれた学術・文化・産業そして人びとの生活様式とまちなみは、京都の美しい自然と融合して日本的なるものの中核を形成し、現代においてもいきいきと息づいています。また、古くて新しいと形容される京都の活力は、都(みやこ)を目指して流れ込む外部からの資源と町衆の自治の力との出会によって、伝統的であると同時に先端的であるという京都独特の学術文化・経済活動として展開されてきました。こうした中から奥深い美意識と芯の強さを併せ持つ"はんなり"とした言葉が生み出され、京都らしいひととまちのありようが歴史的にかたちづくられてきたのです。京都が日本の人びとが共有する原点でありつづけ、美しい都市として世界の人びとを魅了しているのはこのためです。
危機に直面する京都
しかし、日本的なるものの象徴であり、技術や経済の集約点でもあった京都は、昨今の都市景観と地域産業の変貌によって急速な空洞化への道を歩んでいます。京都を「京都」たらしめてきた歴史的景観、伝統的技術、町衆の自治力、独自の生活様式、そして生活と文化を支える経済活動基盤が急速に失われ、京都はいまや存亡の危機に直面しています。この事態を放置すれば、京都は雑然とした一地方都市になりかねません。
21世紀のミレニアムシティとして
それでは、京都はこれからどのような方向にむかって進むべきなのでしょうか。その道標となるのが、一つは京都が千年の歴史を重ねて形成されてきた「ミレニアムシティ」(千年都市)であることへの歴史的認識、もう一つは京都を取り巻く時代環境が20世紀の成長時代から21世紀の成熟時代へと移行しつつあるという時代感覚です。つまり、千年都市京都の本質ともいうべき「持続可能性」(サスティナビリティ)を基調としながら、21世紀の成熟時代にふさわしい品格のあるまちづくり、すなわち"はんなり"としたまちづくりの展開が求められているのです。
世界の平和文化首都にむかって
私は、日本文化の象徴としての京都の特性にかんがみ、文化と学芸を核とする「世界の平和の都(みやこ)」京都の創造こそが最もこのまちのあり様にふさわしいと考えます。21世紀における京都の新たな千年への展開に向けて、学術文化を基盤とした息の長いまちづくりを進めながら、京都市民すべてが新たな町衆として自らそのまちづくりを担うための世直しがいま求められていると考えます。私は、京都で創造される新たな文化と伝統が世界の平和に貢献することを願って、ここに京都に対して独自の経済秩序と活力をもたらす「世界の平和文化首都」の創造を提唱します。そしてその具体策として、京都市民すべてがゆたかな生活と人生を享受できる「はんなり京都」に向けた政策提言を行います。
第1提案 世界へ平和発信〜憲法9条をまもる平和のまち
京都は、第2次世界大戦において奇跡的にも大規模な戦災を免れた数少ない世界の歴史都市です。京都の歴史文化は、世界中の平和を愛する人びとと市民の手によって守られてきました。したがって京都は、世界の平和に貢献し、世界の歴史文化の発展に寄与する輝かしい使命を与えられています。私は、京都を憲法9条をまもり、世界へ平和発信する平和都市にします。
1.自衛隊のイラク派兵に反対し、イラクとバグダッド市の復興支援を世界と市民に呼びかけます。
イラクの首都バグダッド市は、もともと京都の平安京と同じく「平安の都」(マディーナ・アッサラーム)という名前でした。バグダッド市はまた、京都が主催する世界歴史都市会議のメンバーでもあります。私は、世界歴史都市会議主催都市の京都市長として、イラクのバグダッド市をはじめ世界の歴史都市に平和と連帯のメッセージを送ります。
2.「イラク復興まちづくり支援機構」の立ち上げを呼びかけます。
阪神・淡路大震災においては、全国から無数のボランティアが駆けつけ救援活動に多大の貢献をしました。また数々の専門家団体も復興まちづくり支援に大きな役割を果たしました。私は、専門家団体の連携による「阪神・淡路まちづくり支援機構」を組織して復興支援にあたった経験を生かして、イラクとバグダッド市の復興まちづくり支援機構の立ち上げを京都の大学・専門家の協力を得て呼びかけます。
第2提案 透明度100%の市政〜市民力を生かす参加と分権のまち
京都市政への広範な市民参加、すなわち情報の公開と共有に基づく市民の積極的な市政関与と協働は、市政改革に不可欠であるばかりでなく、ひとつひとつの施策がより大きな成果をあげるためにも欠かせないものです。また、区役所への大幅な行財政分権によって市政を市民に近づけ、職員のやる気と働きがいを引き出すことは、市政を市民のものにしていくための不可欠の条件です。市民と職員がいきいきとして市政に参加している社会、地域コミュニティがはつらつと躍動している社会、地域NPOが能動的に活動している社会の中でこそ、京都の未来を展望することができます。このような市民力にあふれた参加・分権社会の実現が、私の掲げるすべての政策実現の基盤です。私は透明度100%の市政を実現し、行政からの一方通行的な「協働」でもなく、また「参加」の名を借りた行政への市民動員でもなく、市民と職員が互いに繋がり合う市政改革を進めます。
1.京都の「闇」、同和利権などあらゆる不正としがらみを一掃し、徹底した情報公開と市民参加を通して透明度100%の市政を実現します。
自治基本条例の制定に基づく住民投票・区民投票制度を創設します。重要政策について市民の議論と判断を仰ぐために、京都市市民参加推進条例を改正し、政策立案・実施過程に市民の参加を保障します。各種審議会、政策形成過程の文書・情報を原則公開にして市民と情報を共有します。行政をチェックする監査委員制度を実効あるものにするとともに、独立司法調査委員会を設置し、オンブズパーソン制度を導入します。行政に対する不当な働きかけを防止するために、その記録を義務づけ公開します。内部告発を保護するコンプライアンス条例を制定して、京都市を不当要求や不正行為のない自治体にします。
2.市役所の効率的再編により区役所の人員・権限・財源を拡充して職員の意欲を引き出し、区役所に市民に選ばれた「区民協議会」を設置して区役所をまちづくりネットワークの拠点にします。
区役所に産業・福祉・保健・環境・教育・保育・交通・ゴミなど具体的な地域問題を担う組織を設置し、区民協議会とのパートナーシップのもとに専門家集団の協力を得てコミュニティレベルのまちづくりを推進します。自治体内分権を進めるために、行政区を準公選区長を持つ準自治体に格上げすることを検討します。またコミュニティレベルでの地域活性化のために、行政事務の一部をコミュニティへ委託する方策を具体化します。京都市全域及び区役所のまちづくりを推進するために、総予算の0.1%(約6億円)を「まちづくり資金」として確保し、市民・住民の自主的運動を支援します。
3.男女共同参画に基づく職員採用や人材登用を進め、外国籍住民の一般地方公務員採用を実現します。男女共同参画社会実現の第一歩として、幹部職員に女性を積極的に登用します。
職員の意欲と資質を引き出し、人材の多様化を進めるために、NPO・民間企業との人事交流によって専門的知識・経験を導入し、地域社会との人的連携による柔軟な人事を実現します。職員研修制度を抜本的に改善し、全体の奉仕者としての公務員の規律を高めます。情実を排して停滞人事を刷新し、真に意欲と能力のある管理職幹部を抜擢します。
第3提案 強いリーダーシップで財政再建〜脱大型公共事業のまち
京都市財政は、いま財政非常事態宣言を出すほど深刻です。京都市財政の危機は、不況による市税収入の落ち込み、大型公共事業のツケである公債費負担の増加が主たる原因です。したがって京都市の財政再建の基本方向は、地域経済の活性化による市税収入の回復と大型公共事業の全面的見直し以外にはありません。また、財政縮小・公共サービスの削減による市民の犠牲で財政再建を図るのではなく、公共サービスの担い手を地域社会全体に広げて必要なサービスを確保する視点も求められます。私は、国に対しては他の政令都市と連携して地方への税源移譲を働きかけるとともに、市民・NPOなどとの協働を通して活力ある公共・社会サービスの供給体制をつくります。
1.高速道路や清掃工場の建設計画など大型公共事業、3セク事業を市民参加・情報公開のもとで全面的に見直します。同和関連事業をすべて廃止します。市長退職金(1期4336万円)を返上し、市長交際費を半減・全面公開して、財政再建の先頭に立ちます。
大借金財政の京都市政を立て直すため、公共事業など投資的経費を削減して地方債抑制を第1目標にします。土地開発公社をはじめ京都市の外郭団体の総点検を行い、清算・民営化の必要な法人の場合は財政上の措置を実施します。入札制度の抜本的改善により談合癒着構造を断ち切り、生活密着型で環境も財政も救う公共事業へ転換します。「ひと・まち・くらしづくり」の視点から公共事業を精査し、福祉・保健・教育・文化・環境に力点を置いた「人への投資」を中心とする財政政策へ転換します。予算査定を現場で総点検してムダを省きます。
2.行政サービスを、「公」(自治体固有の公的事務)、「共」(地域社会の連帯力で担える共同事務)、「私」(市場経済になじむ事務)に3区分し、社会全体のサービス水準を低下させることなく財政支出の効率化を図ります。
行政サービスの「公・共・私」分類とそれにともなう事務の外部化を検討するための諮問機関を市民とNPOの参加を得て設置します。「共」的事業を社会サービス分野と位置づけ、市民の理解が得られるものから順次地域社会のNPO・市民団体及びコミュニティビジネス等に事業に財源を付与して移管することを検討します。また、コミュニティにおける市民と行政の協働を支援・拡充するための施策を推進します。
3.市民と行政の協働を支援するために、総予算のおよそ0.2%(12億円)に相当する2種類の「市民協働予算」を計上します。
第1に、すべての部局に部局予算の0.1%を参加・協働型予算として制度化します。この予算は行政主導ではなく、市民の自主的活動に対して部局ごとに支出されるものです。第2に、地域でのまちづくりを支援するために既存の地域補助金の一部を統廃合し、総予算の0.1%に相当する包括型補助金「まちづくり資金」(前出・6億円)を制度化します。この予算は、区役所への行財政分権の一環として具体化されるもので、市民参加で配分を決定するものです。
第4提案 やすらぎと安心の地域ネットワーク〜すべての人が幸せに暮らせるまち
高齢期にある人や障害のある人が暮らしにくいまちは、すべての人にとって暮らしにくいまちです。高齢者が健康で長生きして元気で暮らせる社会は、子どもたちや働き盛りの市民にとっても住みやすい社会です。人はすべて人間らしく生きる権利を有しています。そのためにこそすべての人が社会的に活動する権利をもち、権利としての福祉があります。国や自治体はその権利を守り発展させることが重要な責務です。市民の健康を守る地域に密着した福祉・医療の活性化は、市民と京都全体の活力を高め、福祉型の地域経済を活性化させます。京都にはその力があります。私は、子どもたちの健やかな発達や幸せな老後を保障する福祉・保健・医療の「やすらぎと安心の地域ネットワーク」をつくり、すべての人が幸せに暮らせるまちをつくります。
1.各行政区に福祉・保健・医療の専門家と市民が参加するワーキングチーム「地域福祉・保健・医療協議会」をつくり、高齢者をはじめ市民の健康度アップと適切な医療の提供を行います。
高齢者福祉の中に予防の観点を積極的に取り入れ、孤立・痴呆・身体機能低下を防止する専門サービスと地域活動を充実します。専門的ケア水準を高め、安心できるケア体制を福祉サービス事業者と協議しながらつくります。介護で困っている家族への相談、情報提供、サービス利用支援を当事者の力を基礎に進め、利用者の権利擁護を総合的に保障する体制を福祉事務所の中につくります。子どもの時期の療育を社会福祉・医療との連携で充実し、ライフサイクルに着目して体系化します。国保料や介護保険の減免制度を拡充し負担を軽減します。
2.高齢者相互、高齢者と若者、子ども相互、子どもの保護者相互の交流など、地域のいきいきとした交流をすすめる地域活動の拠点整備、住民活動の積極的支援をすすめ、にぎわいのあるまちづくりを住民とともにすすめます。
障害者福祉における在宅福祉サービス、通園型・入所型の施設サービスは、交通の実態に着目してできるだけ利用しやすいサービス圏を設定して整備をすすめます。高齢者の知恵と経験を生かした高齢者企業をNPOと協力して起こします。住宅リフォームと介護サービスの拡充によって高齢者の在宅支援を強めるとともに、高齢者が安心して歩けるまちづくりを進めます。
3.条例を制定して、調査権のある福祉オンブズパーソン制度を創設し、福祉の現場の改善を図ります。現行福祉行政・事業の拡充を図ります。
生活保護行政の切り捨てを是正し、特別養護老人ホームなど必要な施設整備にとりくみます。敬老乗車証や緊急通報システムを継続します。共同作業所の運営を支え、障害者の就労を支援します。
第5提案 学区コミュニティの再建
〜安心して子育てができるまち、充実した教育が受けられるまち、学生を大切にするまち
子どもの人格形成にとって大切なことは、基礎学力と個性を重視し、考える力・判断する力を形成することによって自己肯定感をはぐくむことです。また、子どもの学校運営への参加による自治能力の形成を通して自立と協同の精神を育てることです。大切なことは、教育基本法の精神に立ち戻り、すべての子どもの人格形成を保障する環境づくりのために、親、教職員、教育行政関係者、児童福祉関係者、地域住民などが幅広く知恵を出し合い、ともに問題の解決の当たる体制をつくることです。私は、まちづくりと子育て・教育を結びつけ、京都の学区コミュニティを再建し、安心して子育てができるまち、充実した教育が受けられるまち、学生を大切にするまちをつくります。
1.京都の学区コミュニティの伝統を生かして地域と学校が助け合い、安心して子育てができるまち、充実した教育が受けられるまちをつくります。大学のまち、学生を大切にする京都のまちの伝統を生かして、学生が京都に触れ合い、地域コミュニティの中で暮らせるまちをつくります。
安心して子育てができるように、子どもの通院医療費の就学前無料化、保育所待機児童ゼロ、児童館・学童保育の拡充、安全な通学路の整備、子育て相談所の設置など安心子育ての環境をつくります。学校・教育行政と地域コミュニティのあらゆる社会的努力を結び合わせて学校教育、児童福祉、教育NPOが互いに連携・協力・結合する学区ネットワークをつくり、地域の子育て問題に有効に対応できる体制づくりを進めます。
学生が京都のまちなかで暮らし、京都での学生生活に魅力を感じるような環境をつくります。学生の下宿支援事業を創設し、奨学金制度の充実や授業料融資制度をつくります。学生が地域コミュニティのイベントに参加でき、伝統産業・工芸のすぐれた文化と技術に触れる環境をつくります。
2.教育委員会に市民の多様な声が反映する透明性の高い体制づくりに努力します。そのために教育委員の公募制などによって人材の幅広い公募に努めます。
教育委員会事務局主導の教育行政を改め、教育の当事者である児童生徒・親・教職員などが自由に物が言える運営を基本とします。そのため各区ごとに「地域教育委員会」を設置し、教育行政の分権化に努めます。教員が児童生徒と向き合える時間と環境をつくり、教員の教育創造活動を支援します。教育行政と児童福祉行政の交流を促進し、市民参加のもとに風通しのよい教育委員会へ転換します。教育委員会、教職員、父母、地域関係者などが協同して教育問題の解決に取り組む体制をつくり、児童生徒の人格形成と学力の向上に取り組める学区コミュニティづくりをサポートします。「心の教育」や「心のノート」、同和研修や同和教育などにみられるように、教育行政による学校教育への介入を改め、学校の自主性を尊重します。
3.教育行政の本来の役割に基づく、教育環境の充実に努めます。どの子にも行き届いた教育の確保に努め、過剰な重点投資など少数の生徒のために税金を不公平に配分したり、定時制の廃止により教育の機会を奪うやり方を改めます。
すべての生徒に行き届いた教育を保障するために、30人学級を実現します。老朽校舎を改修し、小中学校の普通教室のエアコン設置など充実した教育が受けられる環境をつくります。工場産の急速冷蔵食の学校給食への取り入れ(クックチル方式)を見直し、学校給食を充実させます。生徒の安全をまもるために安全な通学路を整備し、父母と学校が一体となった学校安全管理委員会をつくります。旧同和校への教員加配をやめます。
第6提案 京都資産を生かした経済再生〜豊かな営みのあるまち
京都経済は、事業所数の減少率や完全失業率をみても過去最悪の状況になっています。また京都市は、政令市の中でも税収の最も落ち込みの激しい都市の一つです。これは、京都経済の担い手である中小企業が「弱肉強食」の市場経済のなかで行政施策の枠外に放置されたためであり、その結果、京都固有の伝統産業が絶滅の危機に瀕しています。
京都経済を再生することは、市民が日々安心して生活するための最も大切な課題です。「スーパーテクノシティ構想」のように一部の企業や特定の業種の育成に重点を置くのではなく、すべての市民、企業、業種に開かれた経済・産業・雇用の政策を展開することが重要です。NPOもまちづくりと雇用を創出する主体として積極的に位置づけられなければなりません。
グローバル競争の時代には個性をもった都市しか生き残れないといわれています。しかし、京都のまちには先人たちが培ってきた貴重な資産が豊富にあります。それは、人的資源やものづくり技術の蓄積だけでなく、広く歴史、景観、文化、学術資源をも含み、「京都資産」と表現できるものです。私は、この「京都資産」と京都市民の「市民力」を結びつけて、京都らしい産業や雇用を持続的に維持・発展させ、京都経済の再生を図ります。
1.年間6000億円を超える京都市の財政支出が市内にくまなく循環し、地域経済への波及効果=地域内再投資力が拡大するようにつとめます。京都経済の担い手である中小企業の振興を図るために、中小企業振興条例を制定し、支援を強化します。
公共事業・物品・サービス調達の市内中小企業への発注率を高めます。地域経済波及効果が大きい耐震・防火・高齢化リフォームを目的にした住宅改修やマイホーム改修に対する助成制度を設け、住宅リフォーム需要の創出を図ります。個人経営の創業や中小企業の「第二の創業」及びネットワークづくりを支援します。大学・試験研究機関と優れた技術力・経営力をもつ中小企業を結びつけ、その新規創業を業種を問わず支援します。貸し渋り・貸しはがしを防止し、金融機関による市内中小企業・新規起業者に対する再投融資を促す条例を制定します。中小企業の経営環境を悪化させる国による消費税増税や外形標準課税強化に反対します。
2.質の高い国際観光都市づくりをめざし、歴史文化都市京都を創造する企業やNPO、農家、個人経営を支援します。
空家化・空室化している町工場や商店街を再生するために、若者などの起業を助ける貸工場・貸店舗・貸工房支援事業をすすめます。伝統産業の再生を図るために芸術家との連携を強化し、カジュアル化や高齢者向けのユニバーサルデザイン化に対する新しい「京都ブランド」の商品開発や共同生産を支援します。京野菜や北山杉など安全で安心そして質の高い生活文化や緑空間をもたらす京都の農林生産物を学校給食や公共施設に活用し、地産地消をすすめます。優れた農業技術をもつ農家を資格認定し、技術指導料付の貸農園を普及します。「まちづくり条例」を改正して大型店の出店を規制し、地域内での経済循環や福祉・環境のまちづくりに貢献する商店街やNPOの地域通貨運動を積極的に支援します。空家となった町家を「自炊滞在型宿泊施設」としてリフォームし、内外の青年や学生あるいはシニア層が安く長期滞在できる宿泊施設を支援します。
3.市長諮問機関として「京都経済再生専門家委員会」(仮称)を設置します。産業振興の行政サービスを市役所本庁から各区に移し、地域に密着した効果的な産業振興を図ります。
行政区ごとに「産業振興協議会」を設けて異業種交流を組織し、医療・福祉・環境など地域生活に密着した「コミュニティビジネス」の起業や企業間ネットワークの形成とコーディネーターの養成を図ります。
第7提案 京都議定書の実践〜世界に誇れる環境のまち
京都は、地球温暖化防止の世界的な枠組である「京都議定書」の誕生の地です。京都は、世界のいかなる都市にもまして環境問題の解決に取り組まなければならない「環境先進都市」としての使命を与えられています。私は、京都議定書の発効のためにアメリカ、ロシアなど各国を京都市交響楽団を率いて訪問し、議定書の批准を訴えます。
環境問題の解決は各分野・部局の壁を乗り越えた包括的な取り組みを必要とします。また、それは市民のライフスタイルのあり様とも密接に関連しています。私は、京都の地域特性に見合った環境政策を実行し、市民の「生活の質」を高めながら環境と地域活性化を両立させます。市民が地域社会において循環型社会づくりや温暖化防止活動に参加できる場を設け、NPOとの協働を通して環境の取組が人間性の回復や自己実現はもとより、雇用の創出にもつながるようなコミュニティを蘇らせます。
1.大規模事業所との「温暖化防止協定」の締結、都心地区への自動車乗り入れ規制などを通して温暖化ガスの総量規制を導入し、脱温暖化のひと・まち・くらしをつくる先進的で実効ある施策を具体化します。
市民・団体・企業など京都市のすべての主体が温暖化ガスの排出を削減する行動を起こすよう、市が率先して対策を講じ、実効ある各分野の経済的誘導策(インセンティブ)と総量規制策を導入します。大規模事業所及び大規模建築物と市との間に削減目標と達成期限をともなう「温暖化防止協定」を締結します。都心地区を「自動車規制区域」に指定し、ロードプライシングなどによって自動車交通の総量削減を推進します。
2.京都議定書のまちにふさわしい総合的な環境政策・行政を推進するために、すべての行政施策や公共事業を環境優先の立場から統括する「京都市環境政策・行政統括委員会」を設置します。また、大規模公共事業を温暖化防止視点から点検する「環境評価外部委員会」を設置します。
総合的な環境政策・行政を推進するために、予算編成及び執行過程において政策・事業の優先順位や財源確保に関する統括権限を持つ市長直属組織を設置します。建設ないしは計画中の大規模公共事業に対して、環境と持続可能性の視点から総合評価を行う第三者外部評価組織を設置します。京都議定書のまちにふさわしくない環境破壊と温暖化を促進する公共事業は抜本的に見直します。
3.ごみ減らしに市民が参加できない現在の3種混合収集を抜本的に見直し、環境と財政を救うごみ行政改革で「脱ごみ焼却」をめざします。
市民参加と協働によりごみの分別収集を徹底し短期間に大幅なごみ減量を実現します。空き教室や廃校、空き店舗や空き倉庫を活用して、修理工房を備えた「リユースセンター」を全区に開設し、再使用(リユース)容器の地域内循環を図ります。リユース市民支援事業で環境指導相談員や修理再生職人などの雇用創出を図ります。従来の機械選別と大型ごみ焼却処理による「ハード建設偏重型」から、住民のライフスタイル変革と地域コミュニティ参加によってごみ減量を実現する「参加ソフト重視型」へごみ予算を転換します。クリーンセンター(ごみ焼却工場)の新設建替計画を中止凍結し、大幅な財政支出の削減を達成します。
4.市民力を生かして「環境まちづくり協働会議」を組織し、計画を策定して、環境まちづくり協働事業を推進します。
全市的な環境対策・行政のあり方に関して、NPO、事業者、諸団体等関心利害のある市民なら誰でも参加でき、計画段階からの関係当事者や市と話し合い、政策形成を図る「環境まちづくり協働会議」(仮称)をつくります。また総合的な環境優先行政を実現するために「環境まちづくり協働計画」を策定し、温暖化防止や循環型社会形成、自然再生のための具体的な「環境まちづくり協働事業」を立ち上げます。この事業を通して、NPO等非営利団体や市民起業家による意欲的で先導的な環境保全活動、まちづくり活動、コミュニティビジネスを積極的に支援し、地域再生と雇用創出を推進します。京都の環境・景観政策を展開するために、「環境まちづくり特別会計」をつくり、環境まちづくり事業に積極的に投資します。
第8提案 歴史文化都市、京都の現代的再生〜"はんなり"したまち
まちづくりとは「ひと」と「まち」をつくることです。京都のまちづくりは、世界に誇る歴史文化都市の再生であると同時に、京都市民にとってはいつまでも住み続けられる生活文化都市としての充実発展をめざすものでなくてはなりません。私は、このような京都の歴史文化と生活文化を調和的に発展させるまちづくりを「歴史文化都市、京都の現代的再生」と呼び、「はんなりまちづくり」と名付けたいと思います。
京都の「はんなりまちづくり」は、5つの基本的な考え方で構成されています。第1は、息の長い持続可能なまちづくり(サスティナブルシティ)です。千年都市京都は、これまでにも増して持続可能なまちとして永遠の生命を保つことが求められます。そのためには、京都の自然・歴史・文化・学芸・生活様式など、京都のすぐれたまちづくり資源を保持し、持続可能なかたちで後世の人たちに伝えていかなければなりません。第2は、ゆったりとした都市成長管理(スロータウン)です。これからの都市成熟時代には、高度成長期のような大規模で急激な都市開発は必要ありません。都市の成長を適正な速さと規模に制御し、調和のとれた京都のまちづくりを進めることが重要です。第3は、まちなみを壊さない景観規制(ダウンゾーニング)です。東山・北山・西山に囲まれた美しい京都の盆地景観をまもるためには、高層ビルや高層マンションを規制する高度制限が不可欠です。また既に建設された高層建築の低中層化も必要です。第4は、歩いて楽しいまち、安心して歩けるための交通規制です。自動車交通を抑制して歩道と自転車道を分離し、LRT(新型路面電車)を導入して、都市の快適環境をつくることが求められます。第5は、適正コストで都市更新を続ける修復型まちづくりです。ハイリスク・ハイリターンの大規模建替型の都市再開発ではなく、リフォーム中心の修復型更新事業は投資も少なくて済み、建築廃材を出すことも少ない環境にやさしいまちづくりです。私は、市民がまちづくりに主体的に取り組むことのできる条件を整えて活動を支援し、市民との協働でコミュニティを育て、はんなりまちづくりを進めます。
1.京都の美しいまちなみ・山なみの景観や風景を包括的に保全・再生し、世界の歴史文化都市として守り育てます。宇治市・大津市に呼びかけて「世界遺産条例」を制定し、人類共通の財産として保全・活用に関する基本方針を明らかにします。「町家再生特区」を設定し、山鉾町を含む歴史街区の復元を検討します。
ダウンゾーニング(用途地域の指定替え、高度地区の規制強化等)を緊急に実施します。「五山の送り火」の眺望、鴨川の景観、社寺の庭園等の借景景観、山麓や里山の景観を保全するため、市街地景観整備条例を改正して新たな保全制度を導入します。「世界遺産条例」を制定し、世界遺産の緩衝地帯(バッファゾーン)での乱開発を防ぐため、現行規制の見直しや新たな保全制度の導入を進めます。町家の保全再生に関わる技術開発や研究、町家の保全や再生に取り組む市民・NPO・事業者のネットワークづくりを支援します。京都ならではの都心再生計画として「町家再生特区」を設け、山鉾町を中心に歴史的街区の復元を検討します。
2.歩いて暮らせる生活圏(小学校区)を基本単位として、市民力を生かしたまちづくりを進めます。住宅・防災・福祉・保健・環境・交通・自然・景観などまちづくりに関わる専門家を登録し、コミュニティ・アーキテクトとして市民によるまちづくり活動の技術的支援や助言にあたります。
生活圏のバリアフリー化、防災街区の整備、ビオトープ(生物生息空間)の形成、マンション紛争の調停、生活道路の交通規制、歩道・自転車道の整備など、市民参加のまちづくりを支援する各種の専門家・プランナーを派遣します。市民生活の基礎となる生活圏(小学校区)を単位に、徹底した情報公開と構想段階からの市民参加に基づくきめ細かなまちづくりを進めます。小中学校の総合学習プログラムとして「すまい・まちづくり教育」のカリキュラムを実施します。
3.高速道路計画を見直し、LRT(新型路面電車)を導入して自動車に過度に依存しない環境にやさしい交通体系づくりを進めます。市民、行政、交通事業者、専門家からなる「京都市総合交通政策委員会」を諮問機関として設置し、京都議定書にふさわしい環境先進都市の交通計画を策定します。
京都高速道路の道路建設・計画を一時中止し、交通体系・環境・まちづくり等の観点から環境アセスメントを実施し、幅広い市民参加に基づき事業の必要性を再検討します。都心地区や一般市街地において、交通安全街区や自動車流入規制区域を住民ニーズの高いところから順次導入します。交通空白・過疎地域を解消するため、地区交通計画に基づき、市民・NPO・民間事業者と連携し、一般路線バスと役割を分担しつつコミュニティバスや乗り合いタクシーの運行・支援に取り組みます。地下鉄延伸計画は、利便性、費用対効果、建設に要する時間、まちづくりなどの観点からLRT等の代替手段への転換を含めて見直します。低コストで環境にやさしいLRTを京都市民の中核的な公共交通としていくため、実験路線での試験運行を行い、建設財源や運営のあり方を検討します。
4.京都の芸術文化を発展させるために、総予算の0.1%(6億円)を芸術文化活動予算として確保します。「建築・都市・アート京都ビエンナーレ」(隔年ごとに開かれる芸術文化祭典)を開催し、国内外の伝統芸術やモダンアート・建築などの芸術家が京都に滞在しての製作・発表活動を支援します。映画の街・太秦を復興させるため、映画づくりのための人材教育と製作を支援します。
各種の古典芸能のほとんどは京都が発祥の地です。存続する上で困難に直面している一級の芸術には、助成や施設整備など特別の措置を講じます。古典芸能・映画・モダンアート・伝統工芸などの芸術創造を支援するために、作品発表の場の確保、施設利用、宿泊などが安くできるよう若い芸術家の活動を支援します。数多く小説・詩歌・映画の舞台となった地である京都に文学館を設立します。ホール・集会所など文化施設の利用が簡便に柔軟におこなえるよう管理のあり方を改善し、施設間のネットワークを構築します。小学校区単位でおこなわれるような地域の文化活動に利用できる施設の充実を図ります。そのためにも小学校の施設も一般利用の観点からも充実し、同時に学校教育の場でも多様な芸術鑑賞ができる条件を整えます。