11月18日:大阪市長選、京都市長選の混迷(大連立騒動の波紋、その4)

 大阪市長選の開票が始まった今日の午後9時過ぎ頃、早くもテレビニュースで民主党候補・平松氏の当選確実が伝えられた。出口調査によるものらしいが、それにしても早い報道で驚く。率直なところ、私は自公推薦候補の関候補が辛勝にせよ当選するものと思い込んでいたので、結果は意外なものだった。

 民主党候補の勝因はまだよくわからないが、少なくとも現時点でいえることは、投票率が43%台にまで上がったので、その上昇分が平松候補に流れたということだろう。なにしろ大阪市長選が統一地方選の日程から外れて単独で実施されるようになってから、すべての選挙がオール与党推薦の大連立候補と共産党推薦候補の一騎討ちだったので、これまでは有権者が(最初から勝負がついていると思って)投票に行かなかったのだ。

 しかし今回の選挙結果は、民主党の勝因分析よりも自民・公明両党の敗因分析の方が面白そうだ。自公両党の幹部と国会議員が総出で応援に駆けつけたにもかかわらず、それを関候補の勝利に結びつけられなかったのはなぜか。公明党などは、池田大作先生の叱咤激励のもとで関西一円から創価学会会員を総動員して負けたのだから、その打撃は非常に大きいものがあるだろう。

 関候補の敗因の第1は、自民党独自の「選挙マシーン」が動かなくなってきているということだ。かってのオール与党大連立選挙では、自民党が中心になって民主党(連合・市職労・解同)と公明党(創価学会)を手足の如く動かしていた。だがしかし、長年こうした体制が続いて低投票率が当たり前になってくると、それほど頑張らなくても選挙は勝てるので、自民党後援会自身がだんだん動かなくなってきたのである。というよりは、後援会全体が高齢化し、若い運動員を動員することができなくなってきた。加えて今回の場合は、橋爪候補の擁立に動いた自民党議員の一部が、事実上「寝た」ことの影響もあった。

 これをカバーしてきたのが公明党だった。創価学会組織が「現世利益」のためにフル回転し、結果として自民党の高齢化と運動不足を補ってきた。私などはこれまで何回もその熱気を目の当たりに見てきたので、今回もひょっとすると終盤でひっくり返すのではないかと思っていたぐらいだ。だがそれは、「低投票率」という条件付きだった。つまりオール与党大連立選挙で多くの有権者が棄権して低投票率になったときに、公明党が相対的に大きな影響力を行使できたにすぎないとうことだ。

 このことは、オール与党大連立体制が公明党にとってきわめて魅力あるものであることを物語っている。与党の一員となることで当局から数多くの利益供与を引き出せるし、それを選挙地盤固めにも利用できる。また選挙活動での実績を誇示することで与党陣営のなかで大きな影響力を行使できる。議会ポストの取引も有利に運べる。まさに「いうことなし」である。だから大阪はもとより京都や神戸でも、公明党はオール与党大連立体制の維持のため努力を惜しまなかった。与党候補の当選のために、文字通り手足となって働いてきたのである。

 だが、公明党が「全国最強」といわれる大阪においても、投票率が35%を超えると公明票がついていけない現象があらわれることがわかった。公明党・創価学会の「壁・天井」がおよそこの辺りにあることがわかってきたのである。公明党の勢力が大阪ほどでない京都や神戸では、この「壁・天井」はもう少し低くなって、32〜33%ぐらいになるのではないか。とにかく「公明党・創価学会の限界線」がはっきり見えたことが今回の大阪市長選の収穫だった。

 この選挙結果は、次の総選挙や周辺自治体の首長選挙にどのような影響を及ぼすのであろうか。総選挙への影響はもう少しいろんな反応をみないとよくわからない。しかし来年2月に迫った京都市長選への影響は非常に大きいものがあるだろう。というのは、京都市長選ではいまだに「オール与党大連立」でいくのか、民主が独自候補を立てるのかについての様子見が続いているからだ。

 京都では民主党の国会議員が党副代表や政策責任者の地位に就いているせいか、「反自民」という建前やポーズの手前からも「独自候補擁立」の意見が強い。これに対して民主党市会議員は自民と体質がまったく異なることがないので、端から独自候補など考えていない。むしろ「少数与党」にでもなれば市会運営の自信がないので、できるだけ自民・公明にぶら下がっていたいのが本音である。

 しかしいつまでも様子見を続けているわけにもいかないので、ここ1〜2週間で結論が出るだろう。私の予測はすでに大阪市長選で外れているので自信はないが、それでもあえていうなら、京都では依然として「オール与党大連立体制」が維持されるだろうというものだ。理由は次回に述べたい(続く)。
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