3月16日:内外多忙の春休み
 
 3月は大学の春休みに一応はなっている。今年はさしたるイベントもなさそうなので、自分の仕事を出来ると思っていたら大違いだった。実は内外ともにきわめて多忙な期間となったのである。内外の「内」は他でもない。花粉症(らしい)とインフルエンザの合併症というとんでもない災難に見舞われて10日余りも寝込んでしまい、仕事どころではなくなったのだ。

私はこれまで花粉症とは無縁だった。だから、四季折々の花粉症に悩まされている同僚の教授からは「相当鈍感な人物」だといわれてきた。ところがこの歳になって、今年あたりから猛烈な花粉症に襲われることになったらしいのだ。免疫力の限界値がどうやら低下してきたのだろう。

加えて、インフルエンザにもまいった。もともと風邪には弱い質なので気をつけていたのだが、花粉症が引き金になったのではたまらない。おまけに「肺炎の疑いあり」といわれて仰天した。幸い大事には至らなかったのでよかったが、どうもこの種のウイルス攻撃にはこれから心しなければならないようだ。

内外の「外」の方は、やはり年度替わりの行事が思いの外多くて、毎日がどん潰れていった。勿論うれしいこともある。学年末のゼミ旅行には2、3回生を中心に白浜にいった。私にとっては20数年ぶりといったところだろうか。白浜は一時、万博契機の荒稼ぎの後遺症で閑古鳥が鳴いていたが、今回行ってみると、砂浜が養生され、遊歩道も整備されて見違えるようにきれいになっていた。ドンチャン騒ぎの団体旅行の時代はもうとっくの昔に終わったのだ。

シーズンオフなので旅館もすいていて、学生たちとじっくりと話すことが出来た(彼・彼女らは、私がたまらず寝てしまってからもほとんど徹夜で話していたのだという。よくやる!)。話の中身は、呑んで食べての実に他愛のない雑談なのだが、学生たちの置かれている環境やそれぞれの思いがよく分かる。コミュニティとはこういうものなのだろう。

卒業前にゼミ生たちが家に遊びにきたのも思い出に残る時間だ。彼・彼女らはどうも私の家に興味があるらしい。自前で自宅を設計した(実はクラスメートに頼んで設計してもらったのだが)といったので、それも含めて見に来たのだろう。朝から大掃除をして、食べ物を用意して、あらゆる食器を並べてと、とにかくテンテコ舞だった。

でも教室や研究室にはないようなゆったりとした時間の流れがそこにはある。ゼミに入ってきた頃の学生たちが、卒業間際になるとやけに大人っぽくなっているのを改めて感じた。とりわけ女性たちはエレガントに見えるのだから、不思議なものだ。

この他、年度末の教授会や学科会議も結構多い。最近は大学間の競争が激しくて、学部や学科の特色をどうアピールするかが大きな問題になる。毎年、カリキュラムを改善することはもちろんだが、加えて新しいコース設定や履修モデルの作成、就職の進路とカリキュラムの検討、低学年からの少人数教育の実施プログラムの作成など、実にいろんなことをやらなければならない。私は実務的な仕事は免除されているのだが、担当の若い教授や助教授をみていると、いったいこの人たちの研究する時間があるのかと思うほど、仕事に忙殺されている。研究者としての将来が心配だ。

こんなことで、あっという間に短い春休みの時間は過ぎていく。でも当初に計画した幾つかのことは実行しなければならない。とくに調査など相手先との関係がある日程は、当方がお願いしているのだから約束を果たすことはもちろんだ。とくに今年の春休みは、北海道の友人の教授に依頼して、夕張市をはじめ道内の自治体の厳しい状況をつぶさに見せていただくことになっている。幸い健康状態もほぼ回復したので、この1週間は小泉構造改革路線の影響をまともに受けている北海道の現実をしっかりと学んできたい。

いずれ詳しいことはこの日記でも報告したいが、調査が終わればもう新学期が待っている。いったいこの春休みに何をしたのだろうかと思う日も間近いだろうが、それでも、いろんなことをこなしながら少しずつでも前向きに歩くことが大切だ。もうそんなに速く走れないことは、この前のアキレス腱を切ったことでもよく分かる。「スロー・アンド・ステッディ」を肝に銘じて、その代わり「サステイナブル」な人生を生きたい。
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