12月26日:木枯らしのなかを歩く楽しさ

 今年も今日で最終回の「つれづれ日記」になった。2004年4月の再開以来、私のホームページのヒット数は今年の12月半ばでついに6万回を超えた。過去の記録を調べてみると、2004年4月1日に再開したときは3万回近くだったが(当初の立ち上げは2003年11月25日)、2004年末の12月11日には4万回に達し、それから丁度1年後の2005年12月12日に6万回を超えた。そして現在は6万1千回に近づきつつある。およその内訳としては、選挙期間中前後の4カ月で3万回、選挙後の1年8カ月で3万回というところだ。

 再開後のヒット数を通算すると、2004年のヒット数は8カ月間で約1万1千回、月平均1375回、1日平均46回である。2005年は1年で約2万回、月平均1670回、1日平均56回と着実に増加してきている。これもすべて読者各位の関心の賜と感謝したい。またホームページ運営委員会各位のご尽力に対してはお礼の言葉も見つからない。いろんなホームページがある中で、「日替わり写真」(小さなフォトレーム)が掲載されているホームページは寡聞にして知らない。おそらくは私のホームページだけではないか。これも携帯電話(カメラ)の普及と運営委員の旺盛な編集マインドが結実した成果だ。まさにIT時代のシンボルだといえよう。

戦後60年目にあたる今年は本当に大変な年だった。昨年は諸般の事情で年賀を欠礼してしまったので、今年は早々に年賀状を書いたのだが、その文面にも「2005年は戦後55年体制が歴史的に終焉して21世紀05年体制が始まった」と記した。時代が音を立てて右転換を遂げつつあることに強い危機感を持たざるを得ないからだ。時代は、出口のない閉塞感が続いてきたこれまでの状況から、明らかに右寄り方向へと急転換しつつある。この時代状況をリアルに把握し、それに怯むことなく対峙する気力と体力(それに知力も)が求められていると思う。

 こんなときに私を駆り立ててくれる定番のメニューがある。それは、寒風の吹く河原や堤防を身体で風を切って歩くことだ。さしたる趣味のない私にとって唯一の楽しみといえるのはいろんな場所を歩き回ることだが、なかでも一番のお気に入りが木枯らしの吹く河原や堤防を歩くことなのである。師走になって木枯らしが吹きすさぶ頃になってくると、今日も歩きたいという衝動を抑えることが出来ない。
 
 お気に入りのコースがある。それは桃山丘陵にある伏見城近くの自宅を起点にした宇治川沿いの石清水八幡宮までの約14キロのコースである。自宅から宇治川観月橋までが3キロ、そこから宇治川の堤防に沿って宇治川・木津川・桂川の三川合流地点(天王山近くの八幡付近で三川が合流して淀川になる地点)手前の御幸橋までが8キロ、そして御幸橋から男山山頂にある石清水八幡宮の本殿までが3キロ、合計して14キロの行程だ。休日で雨が降っていなければ気軽に出かけてゆく。

 しかし、このコースは並の行程ではない。夏は灼熱の太陽に曝され、全く日陰がないのでとても歩けたものではないが、木枯らしの吹く厳冬期になると、河原は見渡す限りの枯れた葦原となる。堤防の上から視界を遮るものは何ひとつない。容赦なく寒風が吹きつける「風の道」なのだ。この堤防上の土手の道をおよそ時速7キロのペースで歩くのである。ウインドブレーカーに身を包んで身体を揺するほどの寒風に立ち向かって歩くと、身体中のストレスが吹き飛ばされていくような感覚になる。この快感はやってみないとわからない。

堤防には最近になって上流から河口まで1キロごとに石の道標が整備された。品格のあるいいデザインだ。宇治川観月橋の傍には「大阪湾河口から4.5キロ」との道標が立てられている。御幸橋近くの道標が「河口から37キロ」だから、その間が8キロというわけだ。1キロごとの道標を大体8分半程度の速度で歩く。最後の行程は若干の山登りになる。石清水八幡宮の表参道は距離が長いが勾配は緩やかだ。裏参道は近道だが急勾配の階段だ。その日のバテ具合によってどちらかを選ぶ。時間は通算して2時間15分程度、男山では若干ペース−ダウンするので大体これぐらいの時間になる。それに市街地のなかを時速7キロで歩いたら「不審者」扱いされること必至なので、少しはゆっくりと歩くことにしている。

 風の道を歩きたいと思うのは、身体も神経も参っているときが多い。1週間連続してワープロばかり叩いていたとか、会議のハシゴが連日続いたとか、出張疲れが一度に出たとか、そんなときである。しかし最近は構造的な疲労を感じるからなのか、やたらに歩きたいとの衝動に駆られる。加齢要因もあろうが、やはり時代状況からくる焦燥感とストレスが慢性化しているからだろう。

毎日の研究スタイルも少し変えた。今まで原稿は主として自宅の書斎で書いていたのだが、最近は大学の研究室に出かけて書くことが多くなった。朝日を浴びて大学までの4キロ弱の道程を歩くのはとても気持ちがよい。以前にも書いたように、できるだけ自動車の通らない裏道や疎水縁の道を選んで歩く。帰途は同じコースを帰る。しかし午後6時ともなるともうとっぷりと日は暮れている。その暗闇の静寂(しじま)がまた何とも心地よい。ゆっくりと歩くと、身体中の疲れが暗闇に吸い取られていくような気になる。

 お正月は来るべき困難な時代を乗り切るための鋭気を養いたいと思う。「05年体制」に立ち向かうためにも、身体中に蓄積したストレスを吹き飛ばして身体中を爽快感で満たしたいと思う。そして新年の清々しい朝を心身ともにリフレッシュして迎えたいと思う。(明日からホームページはしばらくお正月休みです。新年は10日前後から再開する予定です。読者のみなさまもよいお年をお迎えください)。