つれづれ日記
10月7日

  10月になってやっと爽やかな季節が訪れたと喜んでいたら、飛び込んできたのは不快極まりないニュースだった。つい先日、京都市総務局から2003(平成15)年度の「市職員の懲戒処分について」の報告が発表された。免職4、停職22、減給36、戒告58、計120人で昨年度よりも21人増加している。恐るべき数字だといわなければならない。毎年10月になると、まるで「年中行事」のように決まって懲戒処分が公表される。その度に「またか」といった世間擦れした受け止め方がないわけでもないが、私ならずともまともな市民ならその度に暗澹たる気持ちにならざるを得ないだろう。同じ政令指定都市でも職員数1万数千人の福岡市や北九州市では年間処分人数は10人前後だから、職員数に対する処分された職員の比率は京都市が際立って高い。まさに異常事態が京都市では「構造化」「恒常化」しているのである。

  しかし率直に言って、マスメディアの報道ぶりは当局発表をそのまま伝えるだけで(NHKや民報テレビはそれすらもしない)、裏付けの取材記事もなければ論評記事もない。ましてや他都市との比較記事もない。これならどんな馬鹿な記者でも記事は書ける。記者会見に出てそのまま(質問もしないで)資料をもらって帰るだけでよいのである。

  一般的にいって、各メディアは自治体批判になると目の色を変えて報道し「自治体リストラ」を叫ぶくせに、こと同和問題・同和行政になると途端に及び腰になるから不思議である。そもそも現場の記者が書こうとしないのか、デスクがこの種の記事は全て握りつぶす慣行になっているのか、はたまたその両方なのか。とにかく同和行政の問題には触れたくない、社会問題にしたくないとの態度があまりにも露骨なのである。これでは「社会の木鐸」が泣こうというものではないか。一人ぐらいでも正義感と気骨のあるジャーナリストはいないものか。ジャーナリズムとしての存在意義がなくなれば、新聞講読数が減り、テレビ視聴率が下がるのは当然ではないか。

  だから、こんな腰の引けたマスメディアの報道ぶりは、懲戒処分を受けた当人はもとよりその膨大な「予備軍」を限りなく増長させる。「処分がなんぼのもんじゃ」というわけだ。そしてそれがまた次の年の不祥事件の温床と引金になってくのである。それに市長自身を含めて関係部局がこの問題をどれだけ深刻に受け止めているかも大いに疑問だ。市議会でどのような質疑があったかは知らないが、少なくとも新聞紙上では市長も総務局長も陳謝のコメントすら出していない。自ら監督責任を取って辞職するとか処分にするとかといった気配もない。まさに「どこ吹く風」なのである。

  しかし、事態は深刻かつ構造的だ。同和地区出身者のみを運動団体の推薦によりほとんどフリーパス(健康診断以外はチエックなし)で市職員に雇用する「同和選考採用制度」は、船橋市政(1971年)から本格化し、桝本市政(2002年)に至るまで32年間にわたって継続した。実態は一切公表されていないが(このこと事態が情報公開原則からして大問題だ)、2003年現在、市長部局9700人の約1/3(主として旧清掃局、現在は環境局に集中)、交通局・上下水道局・教育委員会(給食、用務など)など現業部局6000人の約1/2を占め、全体では数千人の規模に達すると推計されている。その結果、京都市の同和地区有業者数の4割は公務員であり、他の政令都市(1割強)の3倍から4倍の比率に達している。

  自治体としての人事採用権を事実上放棄し、公務員としての資質や労働意欲如何にかかわらず同和地区出身者を採用するという「同和選考採用制度」の結果、これら関係部局では採用停止後も他の政令都市には見られない異常なまでの不祥事件が恒常化している。度重なる市議会決議と桝本市長の陳謝にもかかわらず懲戒処分件数は年平均100件を超え、また最近になってもいっこうに事態改善の兆しが見られない。

  部局別の懲戒処分数が明らかになったのは1997年度以降であるが(それ以前は市長部局のみで現業部局の実態は非公開)、2003年度までの7年間の処分数は、市役所全体で752件、年平均107件である。部局別内訳は、交通局484件(年平均69件)、上下水道局43件(年平均6件)、環境局(旧清掃局)119件(年平均17件)であり、これら関連部局で全体の86%を占めている。

  また処分内訳でみると、これら関連部局の全体に占める割合は、「免職」が37人のうち25人(68%)、「停職」が135人のうち130人(96%)、「減給」が181人のうち168人(93%)、「戒告」が379人のうち323人(85%)である。つまり京都市職員の不祥事件は、そのほとんどが同和選考採用が集中する関連部局で発生しているといって間違いない。  ちなみに免職の処分理由は覚醒剤・麻薬使用が最も多く、恐喝、婦女暴行、傷害事件も少なくない。停職処分は無断欠勤によるものが最多であるが、無断欠勤51日で停職7日など処分は驚くほど軽い。通常なら免職になりかねない上司・同僚への暴行、恒常的なアルバイトの発覚、拾得物の横領及び窃盗未遂などでも僅か停職3日程度であり、飲酒運転・器物損壊・暴行の重犯でも停職1カ月である。ゴミ収集アルバイト、ゴミ収集中の交通事故(事故の相手は轢死)、勤務中の飲酒などは戒告にしか相当しない。しかも過去のある時期には、懲戒免職になった者が数年足らずで再雇用される事例も数多くあった。同和行政が「治外法権化」している例である。

  私は市長選公約として「脱同和利権」を掲げ、「独立司法調査委員会」を組織して同和利権・同和行政を徹底的に調査すると市民に約束した。だが桝本市長はこれだけの職員不祥事が恒常化しているにもかかわらず、いっこうにその責任をとろうとしない。就任以来すでに10年近くの期間が経過しているにもかかわらずに、である。また処分者のほとんどが労働組合員である京都自治労も、このような事態に対して反省し然るべき対応をしたと聞いたことがない。労使双方が馴れ合って腐敗している構図では、事態を変革していく機運が生まれないのは当然だろう。

  改めて提案したい。京都市はこのような恒常的不祥事件を根絶するための抜本的措置を直ちに講ずべきだ。内部努力でそれが不可能なら、市当局からも労働組合からも独立した権威ある外部組織の助けを借りるほかはない。そしてそのような意思も能力もないのなら、桝本市長は潔く辞任する他はないのである。