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7月26日
京都コミュニティ・デザイン・リーグ(京都CDL)については、以前にも紹介したことがある。その京都CDLが今年の夏に中国西安市の建築・都市計画系大学の学生たちと「まちづくり交流」することになった。10年程前に京都府大・京都大に留学していた段錬需君(西安工程科技学院副教授)そして同級生だった小林大祐君(京都文教大学講師)が中心になり、西安3大学(西安工程科技学院、長安大学、西安建築科技大学)と京都CDLの学生約60人が日中混成チームを編成して、西安市街地のフィールド調査とまちづくり提案をするというものだ。
いうまでもなく西安は、京都平安京のモデルになった長安の都であり、京都の姉妹都市だ。紀元前11世紀から10世紀初頭まで2千年にわたって都が置かれ、シルクードの起点として東西文明・交易の結節点となり、秦の始皇帝をはじめ多くの中国王朝の舞台となった歴史文化都市だ。現在は人口700万人に近い大都市だが、市街地は10数キロの城壁に囲まれた西安城址を歴史核として、現在、拡大の一途をたどっている。
中国の現状を一言でいえば、日本の高度経済成長期そのままというところだろうか。日本は1964年東京オリンピック、1970年大阪万博を節目にして驚異的な経済成長を遂げ、大規模な都市開発プロジェクトが臨海部を中心に一斉に繰り広げられた。これと同じく中国でも、目下、2008年北京オリンピック、2010年上海万博を目前にして、空前の開発ブームが沸き起こっている。しかしその一方、日本で高度経済成長を通して過密過疎の国土二極化が進行したように、広大な中国では沿岸部と内陸部の地域格差は「天国と地獄」といわれるほど極端で、格差是正はもはや一刻も猶予できない緊急の政治課題と化しつつある。内陸部の主要都市開発が国家プロジェクトとして最近急速に推進されはじめたのは、そのためである。
だが西安の場合を例にとって考えてみると、このような中心市街地での大規模開発プロジェクトの推進は、貴重な歴史的市街地の破壊に直結する危険性を大きく孕んでいる。また土地が基本的に国有であることから用地買収や住民対応の必要性が低く(なく)、中央政府や地方政府の命令・決定がそのまま実行に移される場合が多い。開発計画に問題があり、誤りがあったとしても、それを是正したり待ったをかけたりする条件が著しく乏しいのである。だから「政府の失敗」「役人の失敗」が発生すれば、それは直ちに「計画の失敗」「開発の失敗」に直結するわけだ。
こんな事態を憂慮している人も中国には大勢いる。その中のひとりが日本で高度経済成長期の都市計画の惨状を目の当たりに研究し、西安には「前者の轍」を踏ませまいと頑張っている段君だ。その気持ちは、京都での経験と教訓を是非とも西安で生かしてほしいと願う私たちの気持ちとも共通する。小林君と段君の間で急速に話がまとまり、中国側の大学が省政府に予算要求して認められたのも、このような両君の熱意によるものだろう。
今回の日中合同プロジェクトは、従来にない大きな特徴がある。それは何よりも「学生主体の交流プロジェクト」だという点だ。日中学生が4組の混成チームをつくり、自分たちで対象地域を自主的に選定してフィールドワークとまちづくり提案を行うのである。日中双方から私も含めて約10人の教員スタッフも参加するが、その役割はあくまでも助言者程度にとどめるとの合意もすでに出来ている。主役は学生たちであり、我々は脇役なのだ。
結果がどのような形であらわれるかが楽しみだ。中国学生側には「開発ブーム」に対する期待が大きく、したがってそこでのまちづくり提案は大規模再開発プロジェクトになるかも知れない。それに対する日本学生側の対応は、京都CDLでの経験や提案からも保全重視の方向に傾くかも知れない。言葉のバリアーはあるが、そこでどんな討論が展開されるか、そして論争を通してどんな新鮮な考えが生み出されるか、結論の分かっている国際会議などとは違って期待するところが大きい。
日程は8月9日から26日までの長丁場だ。うち西安には10日から24日まで15日間滞在する。大学の寮に泊めてもらって、食堂で中国学生と一緒に食事もする。文字通りの「合同合宿」だ。若者たちは共同生活と作業を通して日に日に親しくなるに違いない。私たちも新しい交流が画期的な成果を挙げるよう頑張りたい。しかしそれにしても、西安は(も)猛暑らしい。「参ったなあ」というところだ。
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