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5月27日
22日に開催された都市住宅学会(関西支部)の総会のことだ。「超高層マンションの可能性と限界」というテーマでシンポジウムがあった。最近は都心地区で超高層マンションの建設が相いでいるので、その可能性や問題点を多角的に議論しようというものだ。シンポジストとしてスーパーゼネコンの設計部長と超高層マンションに住んでいる大学研究者が設計側とユーザー側を代表して出席し、コメンテーターのひとりとして私も参加した。ちなみに「超高層マンション」とはどんな建物かというと、厳密な定義はないのだが高さが60メートルを超えると建築構造や防災設備などに関して特別な審査を受けなければならないので、一応60メートル(概ね20階)以上がそれに該当するものとされている。
議論のシナリオとして予想されていたのは、超高層マンションなるものが居住空間として、またコミュニティ環境として、果してこれからの都市住宅の性能を満たすものになりうるかどうか、ということだった。当然、設計側は充分な可能性があると主張しユーザー側は主として管理上の苦労や問題点を挙げてその限界を指摘するという流れになった。しかし興味深いのは、両者がいずれも超高層マンションを従来の「住宅」概念の延長線上に位置づけ、その当否を論じていたことだった。
これに対する私のコメントは、敢えて言うなら「超高層マンション=ホテル論」だ。超高層マンションは「定住空間」としての住宅というよりは、「滞在空間」としてのホテルの性格に近いのではないかというものだ。その根拠は2つある。第1は建築空間の大規模性と複雑性、第2は居住者の多様性と異質性である。前者の議論としては、超高層マンションは構造であれ設備であれ、もはや居住者による管理能力をはるかに超えた巨大建築物である以上、たとえ管理会社の援助を得たとしても、これを区分所有者の管理組合がコントロールすることなどおよそ不可能ではないかというものだ。とりわけ超高層マンションの計画修繕などは、設計する際に求められる高度な専門知識・技術に通じていないと立案すらできないだろう。
加えて、居住者の多様性と異質性という要素も大きい。現在の都心地域の超高層マンションの購入者すなわち居住者の大半は、都心地域の利便性をストレートに享受したいという富裕な高齢者層とシングル(キャリア)ウーマンで占められているそうだ。いずれも管理組合の主たる担い手としては時間的にもまたライフスタイルの点からも不向きな人たちだ。むしろ、ホテル並の居住サービスが提供されなければ困る人たちではないかとさえいえる。このような点を考えると、現在、都心地域で供給されている超高層マンションは、多様な都市住宅の中でもむしろ「特殊解」に属する存在であって「一般解」だとは言いがたい。都市住宅が「標準4人家族」の容れ物であった時代はもはや遠く去ったのである。
ところで学会は研究発表やシンポジウムもさることながら、そのあとの懇親会がまた楽しい。むしろ、こちらの方が本番だというべきかも知れない。大阪天神橋筋商店街の焼鳥屋の2階で行われたこの日の懇親会の席上では、シンポジストの設計部長さんと同席したが、その話題にひときわ興味をひかれた。聞けば、最近の設計部門の就職試験では上位を女子学生が独占するのだという。同様の話しは新聞社や放送会社でも聞いていたが、まさか「男の城」といわれた建築業界までそうだとは知らなかった。このクラスの女子学生になると、確かな自分の世界観を持ち、組織の中での身の処し方に習熟し、すぐれたコミュニケーション能力を有しているのだそうだ。マスコミ業界では「体力勝負」の部分が大きいので、(試験成績では下位の)男子学生も採用しなければやっていけないそうだが、最近の建築設計部門ではコンピューター化が進んでいるので、ためらうことなく上位から採用するらしい。「優秀な人材を採らなければ、競争相手に採られてしまうと大変だ」というのが、設計部長さんの言葉だった。
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